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こい【恋】 (名) 特定の異性を強く慕うこと。 切なくなるほど好きになること。 また、その気持ち。 「―に落ちる」「―に破れる」 現国の自習課題で国語辞典を使っていると、「恋」という単語が目にとまった。 特に恋をしているわけでも、それに憧れているわけでもないけれど、なんとなく。 切なくなるほど、ねえ。 そんな風に人のことを思ったことなんて今までに一度もない私にとって、それは新鮮なことばだった。 「恋って切なくなるほど相手のことを好きになることなんですよ」 「・・・うん?さん、どうしたの?」 「今日辞書で見たんです。新鮮なことばだったので先輩にも教えてあげようかと」 私がそう言うと金久保先輩は一瞬きょとんとしてから、いつものように微笑んだ。 「でもその辞書、ひどいんですよ」 「どうして?」 「恋に落ちたと思ったら恋に破れたんです」 「・・・うん、えっと?」 「例文みたいなところがひどいんですよ」 「ああ、なるほど」 本当にひどい辞書だ。 辞書の中に住んでいる女の子はきっと恋が実ることなく、一生一人ぼっちなんだろう。 本当に、ひどい辞書。女の子がかわいそうだ。 そうぶつぶつ呟くと金久保先輩は電子辞書を取り出してポチポチと動かし始めた。 金久保先輩の指きれいだなーとかのんきなことを考えながらその様子を見ていると、不意に金久保先輩が辞書に微笑みかけた。 金久保先輩って辞書にも微笑みかけるんだ。辞書とお友達なのかな! 「さん、ほら。これ見て」 「・・・みのる?」 「そう、実る。ここ、読んでみて」 「ふたりのあいがついにみのった?」 「辞書の中の女の子の恋は、愛に変わって実ったんだよ」 「こいがあいに・・・」 そっかじゃあ女の子は一人ぼっちじゃないですね! 私が笑うと金久保先輩は「そうだね」と優しく微笑んでくれた。 でもすぐに表情が曇って、なんだか落ち込んでいるようだった。 「どうしたんですか?何かあったんですか?」 「聞いてくれる?」 「はいもちろん!」 「辞書の中の女の子の恋が愛に変わって実ったとしても、僕の恋は愛に変わらないんだ」 「え、金久保先輩恋してるんですか!初耳です!」 「いつになったら恋が愛に変わるのかなあと思って」 「猪の如く女の子追っかけるしかないですね!タックルかまして羽交い絞めにしてやりましょう!」 「そうすれば愛に変わるのかなあ」 「実りますよきっと!」 「じゃあ明日、スタート合図のメール送るね」 「はい!ってなんで私に送るんですか?」 「タックルはかまさないけど、捕まえたら僕の勝ちなのかな?」 「金久保先輩堂々の無視ですね!さすが弓道部部長ですね!」 「もう今からはじめようか」 「え?金久保先輩聞いてますか?とりあえず逃げるべきですか?」 |
情熱的ラブレター