人の生とは、なんと儚いものか。
淡い日の光に照らされた白い肌と穏やかな風に揺れる髪。
人とは、なんと儚いものか。
広い部屋にぽつんと取り残された彼は、自分の存在など感じとっていないように瞳を閉じていた。


薄暗いこの部屋にも全てと同様に朝がくる。
何度この部屋で朝を迎え、夜に落ちただろう。
たった二人、取り残されるには、この広い部屋はさみしすぎる。


早く起きてください、早く、   はやくおきてください


何度心の中で呟いたのかわからない言葉。
声に出そうとしたこともあった。
けれど声にすることができぬまま、時間だけが無情にもすぎていった。
固く閉ざされた瞳の中で彼はどんな色を見ているのだろう。
彼の欲した世界が、そこに見えているのだろうか。




ちょうそかべ、もとちかさま




彼の名前を頭の中でなぞる。
忘れぬように、刻むように。




みんな、みんなみんな、待ってますよ




だから、どうかはやく、
























あの部屋から見える庭に、きれいな桃色が舞っていた。
いつかに感じたぬくもりを思い出すと優しい風がとなりに吹いた。
淡い青色に染まった空を見上げると、彼の奏でた優しい音色が聞こえた気がした。




もとちかさま、




彼が、元親様が自分だけの道を、進んでゆけますように。







春の歌

















(2009/12/13)
イメージソング:春の歌/スピッツ



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