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人の生とは、なんと儚いものか。 淡い日の光に照らされた白い肌と穏やかな風に揺れる髪。 人とは、なんと儚いものか。 広い部屋にぽつんと取り残された彼は、自分の存在など感じとっていないように瞳を閉じていた。 薄暗いこの部屋にも全てと同様に朝がくる。 何度この部屋で朝を迎え、夜に落ちただろう。 たった二人、取り残されるには、この広い部屋はさみしすぎる。 早く起きてください、早く、 はやくおきてください 何度心の中で呟いたのかわからない言葉。 声に出そうとしたこともあった。 けれど声にすることができぬまま、時間だけが無情にもすぎていった。 固く閉ざされた瞳の中で彼はどんな色を見ているのだろう。 彼の欲した世界が、そこに見えているのだろうか。 ちょうそかべ、もとちかさま 彼の名前を頭の中でなぞる。 忘れぬように、刻むように。 みんな、みんなみんな、待ってますよ だから、どうかはやく、 あの部屋から見える庭に、きれいな桃色が舞っていた。 いつかに感じたぬくもりを思い出すと優しい風がとなりに吹いた。 淡い青色に染まった空を見上げると、彼の奏でた優しい音色が聞こえた気がした。 もとちかさま、 彼が、元親様が自分だけの道を、進んでゆけますように。 春の歌 |