「兄上!」
いやいや、今日もなんだか騒々しいね。
そう呟くと、私のお目付け役らしい人物に「様・・・」とため息をつかれてしまった。
なんでもこの城がいつも騒がしいのは、私のせいらしい。
なんでだろうね?私はこんなにも静かだというのに。
「兄上!!」
「・・・重治、どうしたんだい。そんなに息を切らせて」
「昨晩、勝手に部屋を出たそうじゃないか、あれほど言ったのに・・・!!」
「一体誰だい、重治に告げ口したのは・・」
重治、ここでは「半兵衛」と呼ばれている私の弟は恐ろしい顔でこちらを睨んでいる。
この時間は兵たちの稽古を見ている時間じゃないのかい。
そう問いかけると「そんなことより!」とすぐにかわされてしまう。
「この時期、いくら冬が終わったとはいえ晩は冷えるんだ!外には出るなと言っただろう!?」
「たしかに寒かったよ、少しね」
「だから、」
「けれどね、重治。ここにずっといては息が詰まってしまうよ。たまには外に出させてはくれないかい」
そう言い終えると けほ と小さな咳が出た。
それを聞いた重治の顔が、青ざめていくのがわかった。
「だから言ったじゃないか!!寒さは体に毒なんだ!春が来るまでここに、」
「わかった、わかったよ、重治」
はあ とため息をつくと重治の鋭い視線が突き刺さった。
・・・・ああもう、これだから心配症の弟を持つのって大変だ。
鋭い視線をどうにかしたくて、わざとらしく咳きこんでみた。
案の定重治は血相を変えて「医者だ!医者を呼べ!!」と柄にもなく大声で叫びながら部屋から出て行った。
「・・・・・様」
「あはは、ごめんごめん」
我が家の弟
(2009/03/23)
「病弱兄弟」をイメージして書いたけど、半兵衛がかなり元気だ・・。