「出征」
*「一列談判破裂して…」の元歌と思われる曲です。
作詩 真下飛泉
作曲 三善和気
明治37年(1904年)
(作曲著作権の関係で、MIDIと楽譜は掲載しておりません)
*******************************************************
父上母上いざさらば わたしはいくさに行きまする
隣家に居った馬さへも 徴発されて行ったのに
(中略)
村一番の武雄どの 達者で戦争なされよと
手をふりあげて声そろへ 万歳万歳万々歳
<*全歌詞はこちら>
*******************************************************
|
歌詞の最後が「…万々歳」で締めくくられており、また、子供向けに作詞されて学芸会などで歌われたという経緯などを考えると、「一列談判・いちれつらんぱん」の元歌として「道は六百八十里」よりも近いかな?と思われます。 ---------------------------------------------------------- 「出征」のメロディーについては、以下の参考図書 作詞者の註 (編集者の)概説 ----------------------------------------------------------- 「出征」は「真下飛泉言文一致叙事唱歌全12編」の中の最初の曲です。 真下飛泉と「真下飛泉言文一致叙事唱歌全12編」の全歌詞については、京都府大江町のホームページに紹介されています。ご参照下さい。 大江町ホームページ>観光>観光地>真下飛泉「戦友」歌碑 ----------------------------------------------------------- *「童謡唱歌名曲全集続編1」明治回顧 軍歌唱歌名曲選 によると「出征」の初演は作曲者が勤める学校の学芸会だったようです。 その後、上記のように、出征を一曲目として、全部で12曲からなる物語(叙事唱歌)がまとめられています。 物語には、主人公の「武雄」が出征し、戦場で友を失い、自らも負傷して帰国、その後傷痍軍人の慰問に勤め、村長として公共の役に立とうとするまでが描かれています。 物語に登場する村人・父母・妹・戦友・看護婦とその父・戦友の母や幼い兄弟・戦場で身も心も傷ついた人の様子・平和を取り戻し仕事に励む人々など、多くの登場人物の様子が12編の中に折りこまれ、主人公に限らず、登場人物のそれぞれの思いが伝わる内容になっています。 (12編の中の「戦友」(ここは御国を何百里…)は、軍歌として知られていますが、当初は軍歌というよりも「劇中歌」の1つとして作詞されたと思われます。) 参考図書には、真下の教え子で、学芸会の際に主人公の「武雄」役になった田村眞男の手記が掲載されています。 |
*「童謡唱歌名曲全集続編1」
明治回顧 軍歌唱歌名曲選
編集者 堀内敬三
発行所 京文社(昭和7年1月25日発行)
*************************************************************
「出征」
父上母上いざさらば わたしはいくさに行きまする
隣家に居った馬さへも 徴発されて行ったのに
わたしは人と生れきて 而かも男子とあるものが
お国の為めの御奉公は いつであろうと待つうちに
昨日とゞいた赤だすき かけて勇んで行きまする
行くは旅順か奉天か いづこの空か知らないが
お天子様の為じゃもの 討死するはあたりまへ
父上母上いざさらば これが此世のいとまごひ
お二人樣も妹も どうぞ御無事と声くもり
顏見合せて一雫 さすがに涙が袖ぬらす
思へば永の御養育 いつの世にかは忘れましよ
大きうなつた此からだ よし孝行はせなんだが
お天子様へ御奉公 忠義をしたと一言葉
死んだあとでも私を ほめて下され頼みます
若しも運よう生き残り お国へ帰る事あらば
死んだに勝るてがらをば きつと御覽に入れまする
いきると死ぬは時の運 決してないて下さるな
父上あなたは御老体 山や畑のおしごとも
どうぞ御無理をなさらずに 朝晩おやすみ願ひます
母上あなたは病気がち がまんなさらず御養生
オゝ妹よお二人を 大事に孝行頼むぞや
父上母上いざゝらば 妹よさらばと立あがる
かどには村の人達が 旗やのぼりをさしたてゝ
村一番の武雄どの 達者で戦争なされよと
手をふりあげて声そろへ 万歳万歳万々歳