22歳までは競馬に全く興味がありませんでした。
一応物理学専攻だったので、確率論でいうと競馬などサイコロを転がすのと変わらないと
思ってました。
パチンコ店に入って、私が一番若年者だったこともあり、電車で20分ほどの所にある場外馬券売場
に買い出しに頼まれることが多かったのです。
私はそれは嫌いではなく、何故なら馬券が当たる人がいるとその人はお礼に儲けの1割を小遣いとして
くれるからです。
10人くらい頼まれるので結構いいお小遣いになりました。
自分は買わないでいたのですが、何回か買いにいくうちに気付いたのが、主任が毎回当たることです。
主任は珍しく普通の人でまじめな人なのに何でこの人がこの業界にと思わせる人でした。
そういう一般的な所が私と気が合い良く食事にも誘ってくれました。
一度、競馬は儲かりますか?と訪ねると、年に100万円くらいかなと普通に返答され当時の私に
すれば凄いなと思い、その方に競馬を教えてもらいました。
最初の半年は、他のスタッフの買い目や新聞の記者の予想が気になり自分の考えを持つことはできま
せんでしたね。
競馬を始めて半年たった年末。最後の大一番が「有馬記念」です。
その当時の店長(池袋で20年やくざ屋さんだった人)が、前の年の有馬記念で大変な事件があった
そうです。
その店長は「競馬」は1点勝負。1点で見切れないならそのレースは読めてないことだ。
と厳しく?教えてくれる人でした。ちなみに「ダイヤルQ2」のサービスも以前に経営したことがあった
みたいで「当たるのですか?」と聞くと、「当たるなら他人に教えないよ」と答えられました。
そんな店長が1992年の有馬記念で、3万円1点勝負をした訳です。
元々そんなにたくさんお金は掛ける人ではなく、いつも1万円1点でしたが有馬記念ということで3万円
購入したのでしょう。
それが見事にあたり、316倍の約1000万円。
それは大変なことで、普段喜ぶ顔を見せない店長も大はしゃぎだったそうです。
しかし・・・
その馬券を買いに頼んだスタッフが変わった方で、一般常識というか世間というか何も知らなく、自分の
本名も年齢も知らなく戸籍もないという人でした。
その店に雇ってもらった経緯も、店の前で空腹で倒れてたのをその店長が発見して情けで
雇ったわけです。
その人が、馬券を買いにいって帰ってきたときに「すいません。混んでて買えませんでした。」と
言った訳です。
皆さんならどうしますか?
店長は何も言わずに「そうか。しょうがないな。」と言っただけだったそうです。
周囲のスタッフが「嘘いうなよ!」と罵声を浴びせたのを止めたそうです。
それを聞いて「やくざ屋さんって凄いな」と変に感心しましたね。
という経緯もあり、買いに行かされるのが私に変わり少し安心したらしいです。
競馬を始めて半年の有馬記念。
今でも忘れられない一番のレースです。
競馬ファンの方なら分かると思います。1993年有馬記念。
私は初めて1万円以上掛ける自信があり、当時菊花賞を制した「ビワハヤヒデ」という後の3冠馬
ナリタブライアンの兄の単勝を5万円買いました。
この馬に勝てる馬はいないとかなり自信がありました。ただ一番人気で2倍しかつきません。
それでも何か自分の自信を金額で示して、勝負したいとギャンブルの性がでてきたのでしょうか。
結果は今も伝説として語られる「トウカイテイオー」の復活劇で、ビワハヤヒデは2着でした。
春から競馬を何度も見てきて、「ビワハヤヒデ」に勝てる馬はいないとう自信があっただけに
ショックでした。
というよりも、競馬新聞をそれほど見てないで決めたので「トウカイテイオー」って何?と思ったわけです。
1年間レースに出ないで九州の方で淡々と調教を積んで、このレースだけの為に1年の間勝てる
かどうか分からないのに引退させないで調教を続けてたそうです。
競馬を半年しか見てない私にその馬は知らない存在でした。
翌日スポーツ新聞の見出しに「トウカイテイオーが覆した有馬記念の過去データ9つ」とあり、
素直に外れたレースでしたが感動しました。
トウカイテイオーはそのレース限りの引退でした。
今でもそのレースと勝利ジョッキーインタビューの田原の涙を見ると、競馬っていいなと思ってしまいます。
ここが私の競馬の出発点です。パチンコと違い敗戦続けから始まってます。
でも競馬は10回中9回負けても、1回勝てばプラスになることもある。というのが私の悪い考えでした。
ギャンブル依存症の方も多くは、いつかは大逆転があると信じているのでしょう。
お客さんで柄の悪い「新聞の勧誘屋さん」がトウカイテイオーの単勝を50万円買ってて、ホールで
大はしゃぎでした。10倍なので500万円ですから。
私にも飲みに行くぞと気前よく言ってくれてました。
その方は翌日急性アルコール中毒で亡くなったそうです。元々お酒を控えないとならない方だった
みたいで。悲しいですね。